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製造業DX

工場の工程管理をデジタル化するには?ホワイトボード・Excel管理の限界と進め方

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「工程表はホワイトボードとExcelで足りている。でも、遅れに気づくのがいつも直前になる」と感じていませんか?

結論からお伝えすると、工程管理のデジタル化とは工程表を画面に移すことではありません。予定と実績を同じ場所で見られるようにすることです。ここを外すと、ホワイトボードがそのままモニターに変わるだけで、遅れの発見は早くなりません。

本記事では、ホワイトボード・Excelの工程管理で起きる問題と、デジタル化で実際に変わること、そして現場に定着させるための手順を解説します。

結論:デジタル化の目的は「予定と実績を同じ場所で見る」こと

工程管理をデジタル化して効果が出る会社と、出ない会社の差は道具ではありません。実績が入っているかどうかです。

  • 効果が出ない:予定だけをシステムに入れた。誰かが手で進捗を更新する
  • 効果が出る:作業実績が現場から入り、予定表が自動で今の状態になる

ホワイトボードでも、マグネットや付箋を動かせば「いまどこまで進んだか」は表せます。ただしそれは上書きされて消えるため、記録としては残りません。そして、実際に何時間かかったかまでは持てません。工数の情報は日報の紙か、書いた人の記憶にあります。

この2つが別々である限り、進捗の把握は誰かが聞いて回る作業のままです。

工場全体のデジタル化をどの順番で進めるかは「工場のデジタル化は何から始める?製造業DXを紙・Excelから進める手順」で解説しています。本記事は、その中の工程管理に絞った内容です。

ホワイトボード・Excelの工程管理で起きる5つの問題

1. 現場に行かないと最新の状況が分からない

ホワイトボードの最大の弱点は、その場所に立たないと読めないことです。事務所から「あの案件どうなってる?」と聞き、現場が手を止めて答える。この往復が1日に何度も発生します。

会社が大きくなるほど、聞く人も答える人も増えます。

2. 変更が全員に伝わらない

急ぎの案件が割り込むと、工程は組み替わります。ホワイトボードは書き換えたが、Excelの工程表は前のまま。手元にコピーを持っている人はさらに古い、という状態が生まれます。

「最新版はどれか」を確認する時間が、毎回発生します。

3. 誰がどれだけ手を空けているか分からない

工程表には「いつ・何を作るか」は書いてありますが、「誰が空いているか」は書かれていないことがほとんどです。そのため負荷の偏りが見えず、特定の人に仕事が集中します。

結果として、その人が休むと工程全体が止まります。属人化の構造については「業務が属人化している会社に共通する5つの問題と改善方法」でも解説しています。

4. 遅れに気づくのが納期直前になる

これが最も損失の大きい問題です。予定だけを管理していると、遅れは「予定日を過ぎたとき」にしか分かりません。

実績が入っていれば、作業が始まって数日の時点で「このペースだと間に合わない」が見えます。早く分かれば、応援を入れる・順番を変える・客先に相談するという打ち手が取れます。納期直前に分かった場合、選べるのは残業だけです。

5. 実績が残らないので、次の見積もりに使えない

ホワイトボードは消せば消えます。「あの製品、前回は何時間かかったか」を知る手段が、担当者の記憶しかない状態です。

見積もりが経験と勘に頼り続ける原因は、たいていここにあります。

なぜホワイトボードとExcelでは限界が来るのか

理由は2つあります。

1つ目は、どちらも予定を書く道具であって、実績を集める道具ではないからです。実績を書き込む欄を足すことはできますが、現場が作業中にホワイトボードへ数字を書きに行くことはまずありません。

2つ目は、更新のコストが特定の人に乗ることです。工程が変わるたびに、誰かが書き換えます。この人が忙しい日は工程表が止まり、止まった工程表は誰も見なくなります。

つまり限界は、案件数が増えたときではなく、更新する人が追いつかなくなったときに来ます。Excelでの案件管理が限界を迎えるタイミングも同じ構造です(「Excelでの案件管理に限界を感じたら?業務システム導入を検討する5つのサイン」)。

デジタル化で変わる3つのこと

現在地が、聞かなくても分かる

現場のタブレットやスマートフォンから「着手」「完了」を押すだけで、事務所の画面が変わります。進捗確認の電話と、確認のための移動がなくなります。

予定変更が一度で全員に反映される

工程を組み替えたとき、全員が同じ画面を見ているので、伝達漏れが構造的に起きません。「最新版はどれか」を探す時間もなくなります。

実績が貯まり、見積もりの根拠になる

これが中長期で最も効きます。同じ製品を10回作れば、10回分の実際の工数が残ります。次の見積もりで「前回は何時間だったか」を数字で確認できるようになります。

作業実績をどう集めるかは「紙・Excelの日報をWeb化すると何が変わる?日報システム導入のメリット」で詳しく扱っています。工程管理と日報は、実は同じデータの表と裏です。

工程管理をデジタル化する4ステップ

ステップ1:いまの工程表をそのまま画面にしない

最初にやりがちな失敗が、ホワイトボードの見た目を忠実に再現しようとすることです。手書きだから成立していた運用(斜線、付箋、色マグネット)を全部作ると、費用も期間も膨らみます。

まず「この工程表で本当に見たいのは何か」を3つ以内に絞ってください。多くの場合、いま何番まで進んだか・遅れているのはどれか・誰が空いているか、の3つです。

ステップ2:実績を入力する人を決める

ここが定着を左右します。現場の作業者が入力するのか、班長がまとめて入れるのか、事務がヒアリングして入れるのかを最初に決めます。

現場に入力してもらうなら、押す回数は1日3回程度が限界だと考えてください。工程ごとに細かく記録させる設計は、ほぼ続きません。

ステップ3:予定と実績を同じ番号でつなぐ

工番、製番、案件番号——呼び方は会社によって違いますが、予定と実績を同じ番号で呼ぶことが前提です。ここが揃っていないと、あとで工程と原価をつなげられません。

情報がつながらないまま個別に管理すると何が起きるかは「案件管理・日報・原価管理がバラバラだと何が起きる?情報の分断が生む5つの問題と解決方法」で整理しています。工程管理を入れる前に、この番号だけは決めておくことをおすすめします。

ステップ4:ホワイトボードを消す日を決める

二重運用が続くと、現場は「結局ホワイトボードを見れば分かる」と判断し、入力が止まります。試用期間を設けたうえで、いつ紙とホワイトボードをやめるかを最初に決めてください。

ただし、やめる前にその工程表が記録として必要でないかを確認してください。取引先からトレーサビリティの記録を求められている場合や、ISO9001などの認証を受けている場合は、それぞれの要件を満たす形で残す必要があります。

手段の選び方:3つの選択肢

方法費用の目安向いているケース
ホワイトボード+Excelの運用改善ほぼ0円工程が単純で、更新する人が1人で足りている
工程管理SaaS月額数千円〜/人工程の流れが一般的で、既存の画面に業務を合わせられる
オリジナル開発100万円〜自社特有の工程があり、日報・原価と一体で管理したい

判断の軸は「自社の工程が特殊かどうか」です。組立や加工の流れが一般的であればSaaSで十分に足ります。一方、工程の分岐が多い、外注の出し入れが頻繁、といった場合は既存サービスの画面に収まらないことが多くなります。

導入方式の判断基準は「SaaSとオリジナルシステム、どちらを選ぶべき?中小企業向けに判断基準を解説」で詳しく解説しています。

ByteBloomの視点:工程管理だけを入れても効果は半分

実際に製造業の業務システムを開発していて感じるのは、工程管理だけを単体で導入した場合、思ったほど効果が出ないということです。

理由ははっきりしています。工程表を最新に保つには実績が必要で、実績は日報から来るからです。工程管理システムだけを入れると、結局「誰かが進捗を手で更新する」運用に戻ります。ホワイトボードが画面に変わっただけ、という状態です。

ByteBloomが支援した製造業のお客様でも、最初に作ったのは工程表ではなく日報の入力画面でした。現場が毎日入力する仕組みが動いてから、そのデータを工程と原価につないでいます。この順番のほうが、現場の負担が増えないぶん定着します。

もうひとつ、工程管理システムの検討でよくご相談を受けるのが「現場がタブレットを使えるか」という不安です。経験上、押すボタンが少なければ年齢に関係なく使われます。使われなくなるのは、入力項目が多い場合と、入力しても自分に返りがない場合です。入力した人が自分の画面で何かを得られる設計になっているかを、導入前に確認してください。

まとめ:工程管理のデジタル化は「実績」から

  • 目的は工程表を画面にすることではなく、予定と実績を同じ場所で見ること
  • ホワイトボード・Excelの限界は案件数ではなく、更新する人が追いつかなくなったときに来る
  • デジタル化で変わるのは、現在地の共有・変更の反映・実績の蓄積の3つ
  • 実績を入力する人を先に決める。押す回数は1日3回程度までが現実的
  • 工番・製番など、予定と実績をつなぐ番号を先に統一しておく
  • 工程管理だけを入れても効果は半分。日報とセットで考える

遅れに早く気づける状態は、システムを入れた瞬間ではなく、現場が実績を入力し始めた瞬間にできます。

工程管理の見直しを相談したい方へ

ByteBloomでは、いきなり工程管理システムの開発を提案するのではなく、いまの工程表と日報の運用を確認したうえで、どこから手をつけるべきかをご提案しています。「まだ何を作るか決まっていない」段階のご相談も歓迎です。

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