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日報システムの選び方|Excel・SaaS・自社開発を中小企業向けに目的別で比較

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「日報をシステム化したいが、Excelの改善でいいのか、日報アプリを入れるべきか、それとも自社に合わせて作るべきか決めきれない」と感じていませんか?

結論からお伝えすると、日報システムは機能の多さや価格で選ぶものではありません。**「日報を何に使いたいのか」**を先に決めれば、Excel・SaaS・自社開発のどれが合うかは、ほぼ自動的に決まります。

本記事では、日報システムの3つの選択肢を比較し、目的別の選び方、日報SaaSを選ぶときのチェックポイント、5年間の総額で見た費用の考え方を、業務システム開発の現場の視点で解説します。

結論:日報システムは「日報を何に使いたいか」で選ぶ

まず答えを示します。日報をシステム化する目的は、大きく3つに分かれます。目的ごとに向いている選択肢は次のとおりです。

日報を何に使いたいか向いている選択肢
紙をやめて、提出・保管を楽にしたいExcel・スプレッドシートの改善、または安価な日報SaaS
現場の状況を共有し、上司と現場のやりとりを良くしたい日報SaaS
作業時間を案件ごとの工数・原価・請求につなげ、経営データにしたい自社開発(または案件管理まで備えたSaaS)

多くの会社が「目的1」のつもりで日報アプリを選び、あとから「目的3」が欲しくなって行き詰まります。逆に、目的1しか必要ないのに自社開発するのは過剰投資です。

自社がどの目的なのかを、この記事を読みながら確認してください。日報のWeb化でそもそも何が変わるのかは「紙・Excelの日報をWeb化すると何が変わる?日報システム導入のメリット」で解説しています。

基礎知識:日報システムの3つの選択肢

Excel・スプレッドシートの改善

新しいツールを入れず、今のExcelやGoogleスプレッドシートを工夫して使う方法です。入力用のシートを共有し、集計用の関数を組む、入力フォームから自動でシートに転記する、といった形が典型です。

費用はほぼかかりませんが、「入力は楽になっても集計は人が行う」という構造は変わりにくく、複数人での同時利用も苦手です。

日報SaaS(クラウドの日報アプリ)

月額料金で使えるクラウド上の日報サービスです。スマホアプリから入力し、上司がコメントや既読をつけられる、テンプレートを選べる、といった機能が一般的です。

申し込めばすぐ使え、1人あたり月額数百円から1,000円程度のものが中心です。ただし、入力項目や集計の切り口は、サービスが用意した型の範囲内になります。

自社開発(オリジナルの日報システム)

自社の業務フローに合わせて、開発会社に依頼して作る方法です。「工番(こうばん。工事や製品ごとの管理番号)を選んで作業時間を入れる」「入力した時間が案件の原価に自動で積み上がる」といった、自社の仕事の流れそのものを反映できます。

開発費がかかり、使い始めるまで数か月を要しますが、日報を案件管理や原価管理とつなげたい場合には最も確実な方法です。

比較表:Excel・日報SaaS・自社開発の違い

3つの選択肢を、日報システムを選ぶときに効いてくる項目で比較します。

項目Excel・スプレッドシート改善日報SaaS自社開発
初期費用◎ ほぼゼロ○ 無料〜数万円△ 100万円〜(規模による)
継続費用◎ ほぼゼロ○ 月額数百〜1,000円程度/人○ 保守・サーバー費(人数で増えにくい)
使い始めるまで◎ 数日◎ 即日〜数日△ 2〜4か月程度
スマホからの入力△ 苦手◎ 得意◎ 業務に合わせて設計
集計の自動化△ 関数次第、崩れやすい○ 用意された集計は自動◎ 欲しい切り口で自動
入力項目の自由度◎ 自由△ テンプレートの範囲内◎ 自由
案件・工数・原価との連携△ 人が転記△ 難しいことが多い◎ 一元管理できる
上司のコメント・既読△ 難しい◎ 得意○ 作れば可能
利用人数が増えたとき△ 破綻しやすい△ 月額が人数分増える◎ 費用はほぼ変わらない

表を見ると分かるように、どれかが全面的に優れているわけではありません。現場との情報共有に強いのはSaaS、経営数字につなげる力が強いのは自社開発、手軽さではExcelです。だからこそ、目的から逆算する必要があります。

目的別の選び方:3つのケースで解説

目的1:紙をやめて提出・保管を楽にしたい → Excel改善か、安価なSaaSから

「紙の日報の回収と保管が面倒」「提出漏れをなくしたい」が主な悩みなら、まずはお金をかけない方法で十分です。

具体的には、入力フォームを作ってスプレッドシートに自動で溜まるようにするだけでも、回収と保管の手間はなくなります。人数が10人前後までなら、これで数年は回ります。

スマホからの入力を現場が嫌がる、提出状況を一覧で見たい、という要望が出てきたら、無料プランや低価格帯の日報SaaSを試す段階です。

目的2:現場の状況を共有し、上司と現場のやりとりを良くしたい → 日報SaaS

「日報を通じて現場の困りごとを早く拾いたい」「書きっぱなしではなく、上司が反応する文化を作りたい」なら、日報SaaSが最も向いています。

コメント・既読・いいね・写真添付といったコミュニケーション機能は、SaaSが最も磨き込んでいる部分です。同じものを自社開発で作るのは費用に見合いません。

この目的では、機能の多さより現場が毎日続けられるかが成否を分けます。選ぶときは、後述するチェックポイントの「スマホで1分で入力できるか」を最優先にしてください。

目的3:作業時間を工数・原価・請求につなげたい → 自社開発(または案件管理まで備えたSaaS)

「どの案件に何時間かかったかを把握したい」「日報の時間から案件ごとの利益を見たい」「日報をもとに請求を作りたい」という目的なら、日報は単独のツールではなく、案件管理・原価管理の入口として設計する必要があります。

この段階で一般的な日報SaaSを選ぶと、日報の入力はデジタル化されても、案件ごとの集計は結局Excelで手作業、という状態になりがちです。日報と案件・原価がつながっていないことで起きる問題は「案件管理・日報・原価管理がバラバラだと何が起きる?情報の分断が生む5つの問題と解決方法」で詳しく解説しています。

選択肢は2つです。案件管理や工数管理まで備えたSaaSで自社の業務が収まるなら、それが早くて安い。工番管理や独自の原価の考え方があり、既存サービスの型に合わないなら自社開発が向いています。

日報SaaSを選ぶときの7つのチェックポイント

日報SaaSは数が多く、機能一覧を見比べても違いが分かりにくいものです。日報という業務に特有の、失敗しやすいポイントに絞って7つ挙げます。

1. 入力項目を自社の業務に合わせて変えられるか

「作業内容・時間・案件」のように、自社で必要な項目を自由に足せるか。特に数値として入力できる項目(作業時間、数量など)があるかは重要です。自由記述欄しかないサービスでは、あとから集計できません。

2. 案件や工番ごとに作業時間を記録できるか

将来、工数や原価を見たくなる可能性が少しでもあるなら、「どの案件に何時間」を選択式で記録できるかを確認してください。この機能がないサービスは、目的1・2に割り切って使うものだと考えたほうが安全です。

3. データをCSVやExcelに書き出せるか

日報のデータをまとめて書き出せないサービスは、乗り換えるときにデータを持ち出せず、自社での集計もできません。書き出しの可否と、その形式は必ず確認してください。

4. スマホで1分以内に入力できるか

現場の人が続けられるかどうかは、ここでほぼ決まります。無料トライアルで、実際に現場の人に数日入力してもらうのが確実です。管理者が触って良さそうでも、現場が続かないケースは珍しくありません。

5. 上司側の機能は自社の運用に合っているか

コメント、既読、承認、未提出者の一覧など、管理者側の機能は運用の考え方によって必要なものが変わります。「承認フローは要らないが未提出の把握は必須」など、自社の運用を先に決めてから見てください。

6. 料金体系は人数が増えても無理がないか

人数課金の場合、閲覧するだけの役員や事務担当にも課金されるのか、最低契約人数があるのか、上位プランでないと使えない機能が何かを確認します。月額数百円でも、30人・50人・5年で見ると無視できない金額になります。

7. 無料トライアルで現場に試してもらえるか

最終的な判断は、管理者の机上ではなく現場で行うべきです。トライアル期間中に「入力に何分かかったか」「面倒だと感じた点はどこか」を現場に聞き、その声で決めてください。

費用の比較:5年間の総額と「集計の人件費」で考える

日報システムの費用を比べるときは、初期費用や月額だけでなく、5年間の総額と、今かかっている集計の人件費の両方を見る必要があります。

まず、30人の会社で5年間使う場合の単純計算です。

選択肢5年総額の目安(30人の場合)
Excel・スプレッドシート改善ほぼゼロ(ただし集計の人件費は残る)
日報SaaS(月額300〜1,000円/人)約54万〜180万円
自社開発(開発費100万〜300万円+保守・サーバー費)約200万〜500万円

※料金・開発費は一般的な目安です。実際の金額はサービスの料金体系や開発内容で変わります。

これだけを見ると自社開発が最も高く見えます。ただし、ここに「集計の人件費」を加えると景色が変わります。

たとえば、事務担当者が日報の集計に毎日1時間かけているとします。年間の稼働を240日とすると年240時間、時給2,000円で換算すると年間48万円、5年間で240万円が集計だけにかかっている計算です。この集計が自動化されるかどうかは、選択肢によって大きく異なります。

  • Excel改善:集計の人件費はほぼそのまま残る
  • 日報SaaS:サービスが用意した集計は自動になるが、案件別・原価別の集計は手作業が残ることが多い
  • 自社開発:欲しい切り口の集計を自動化できるため、集計の人件費を大きく減らせる

つまり、集計にどれだけ人手がかかっているかが、費用比較の結論を左右します。集計がほとんど不要な会社なら、SaaSが総額でも有利です。

一方、集計に毎日1時間かけている会社では、年間48万円分の人件費が自社開発の投資に充てられる計算になります。ただし回収までの期間は、開発費の規模と、実際に減る集計時間で大きく変わります。

  • 5年総額が200万円程度で、集計の1時間がほぼゼロになる場合:約4〜5年で回収
  • 5年総額が500万円程度の場合:集計の1時間が丸ごとなくなっても、回収には10年以上かかる

したがって「集計に時間がかかっているから自社開発」と短絡せず、開発費の見積もりと、自動化で実際に何時間減るのかを確認したうえで判断してください。集計の人件費が年48万円の規模なら、自社開発が見合うのは開発費を小さく抑えられる場合に限られます。

自社開発の費用がどう決まるかは「社内システム開発の費用相場はいくら?規模別・機能別の目安を中小企業向けに解説」で、規模別・機能別に解説しています。

よくある失敗パターン3つ

機能の多さで選んで、現場が入力しなくなる

管理者が「あれもこれもできる」サービスを選んだ結果、入力画面が複雑になり、現場が続かなくなるパターンです。日報システムは、入力する人が一番多く触るツールです。選ぶ基準は管理者の便利さより現場の負担の軽さに置いてください。

日報SaaSを入れたが、集計は結局Excelで手作業

目的3の会社が、目的1・2向けの日報SaaSを選んだときに起きます。日報の提出は楽になった一方、月末になると事務担当者がSaaSの画面を見ながらExcelに転記して案件別に集計している——という状態です。デジタル化したはずの業務に、新しい転記作業が生まれています。

最初から自社開発で「全部入り」を作る

逆に、目的3だからといって、日報・案件・原価・請求・在庫まで一度に作ろうとするパターンです。開発費が膨らみ、使ってみると要らない機能も出てきます。自社開発を選ぶ場合も、日報の入力と集計という中核から小さく始め、使いながら広げるのが確実です。SaaSと自社開発の一般的な判断基準は「SaaSとオリジナルシステム、どちらを選ぶべき?中小企業向けに判断基準を解説」でまとめています。

ByteBloomの視点:分かれ目は「日報の時間を、案件の原価として見たいか」

実際に日報システムの相談を受けていて、選択肢を分ける質問は結局1つに絞られると感じています。

「日報に書かれた作業時間を、案件ごとの原価として見たいですか?」

この答えが「いいえ、提出と共有が楽になれば十分」なら、日報SaaSをおすすめしています。自社開発で同じことをするのは費用に見合わないからです。

答えが「はい」なら、日報は最初から案件・工番に紐づく形で設計する必要があります。ByteBloomが支援した製造業のお客様のケースでは、最初に作ったのは日報の入力と集計だけでしたが、作業時間を工番ごとに記録する設計にしていたため、あとから原価・請求の集計へと無理なく広げることができました。導入後は勤怠集計が毎日1時間から5分に短縮されています(このお客様での実測値で、効果は業務内容によって変わります)。

もう1つ、付け加えたいことがあります。自社開発を選んだ場合でも、すべてを新しいシステムに置き換える必要はありません。このケースでも、現場が使い慣れた工番表のExcelはそのまま残し、システムと連携させています。現場が慣れているものは残し、転記と集計だけをなくすという発想が、定着しやすいシステムにつながります。

まとめ:目的を決めれば、選択肢は自然に絞られる

  • 日報システムは、機能や価格ではなく「日報を何に使いたいか」で選ぶ
  • 提出・保管を楽にしたいならExcel改善か安価なSaaS、現場との共有を良くしたいなら日報SaaS、工数・原価につなげたいなら自社開発(または案件管理まで備えたSaaS)
  • 日報SaaSは、数値項目・案件別の記録・データ書き出し・スマホ入力の手軽さ・料金体系を確認し、現場にトライアルしてもらって決める
  • 費用は5年総額で比べ、今かかっている集計の人件費も含めて考える
  • 自社開発を選ぶ場合も、日報の入力と集計から小さく始める

「日報をデジタル化したのに、集計は手作業のまま」という状態を避けられるかどうかは、選ぶ前に目的を決めているかどうかにかかっています。

自社に合う日報システムを一緒に整理したい方へ

ByteBloomでは、いきなり自社開発をおすすめすることはしません。日報を何に使いたいのかをうかがったうえで、Excel改善やSaaSで足りる場合はその旨をお伝えし、案件・原価とつなげたい場合には小さく始める開発をご提案しています。

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